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麝香(ジャコウ)
MOSCHUS

 ジャコウジカ又はその他近縁動物の雄のジャコウ腺分泌物を乾燥した物です。ジャコウジカは哺乳動物、反芻亜目、シカ科の動物でヒマラヤの山岳地帯から中国の西蔵、西康、雲南、貴州、四川、甘粛、陝西、山西に及びます。
 ジャコウジカの雄は体長約1mで、肩の高さが約70cm全身は帯灰かっ色の長毛で覆われ、二条の白斑が頭部から脚部に流れています。耳は大きく直立して、上あごの犬歯は長く外下方に突出して内方に湾曲しています。
 腹部の正中線と臍部と陰茎との間にある袋状の分泌腺が麝香で、晩秋から初冬の交尾期に分泌液で満たされます。麝香の香気成分はムスコンといわれる環状ケトン体でありますが、これが有効成分とは考えられていません。
 薬理作用として強心作用、男性ホルモン様作用、抗炎症作用、β−アドレナリン効果増強作用、抗アレルギー作用などが報告されています。
 用途は強心、興奮、鎮静、解毒薬、小児の驚癇、神経衰弱症、心腹痛、打撲損傷などですが、日本では家庭薬製剤原料としての用途が多いです。また、高級香水に配合されます。
 現在、麝香はワシントン条約で輸出入が禁止されており、今のところワシントン条約以前に輸入されたものが使われています。ジャコウジカの人工飼育が成功しない限り、将来使えなくなってしまう生薬です。

 麝香を配合した当社製品:仙客葆光、成光片仔膽

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