仕込み直後の諸味は冷蔵して約1ヶ月経過の後、ふた付きバケツ(10リットルくらいが適当かと) に移していただければ良いと思います。 発酵管理のコツなどを・・・ 外気に触れて諸味の温度が上がってくると発酵を始めますが、 諸味の中では酵母と乳酸菌が競合的関係を持ちながら共存しています。 この酵母、乳酸菌のどちらが優勢となるかで醤油の風味が変ってきます。 酵母が優勢となったときは軽く華やかな感じ。 乳酸菌が優勢となったときは重厚な感じ、になります。 どちらが優勢となるかは運次第という部分もありますが、 人間が関与できるところとして、諸味の攪拌頻度があります。 諸味は放置すると上から固層、液層、沈殿と3層に分かれて来ますが、 この状態では酵母が優勢になりやすく、 攪拌直後のように全体がベタッとした状態では乳酸菌が優勢になりやすいです。 酵母と乳酸菌は増殖の形態が違うのですが、諸味の物理的な状態が、 酵母、乳酸菌の増殖スピードに影響を与えます。 発酵が始まるまでは、攪拌頻度が多いと酵母が、少ないと乳酸菌が優勢に 発酵が始まったら逆に攪拌頻度が多いと乳酸菌が、少ないと酵母が 優勢になります。 発酵が始まるまでに攪拌の回数が多いと、あまりに酵母が優勢になってしまい、 味に深みが無く、うすっぺらい味の醤油になってしまいます。 まず乳酸菌が発酵をリードし、その後酵母が取って代わるというのが 理想のパターンです。 「元気かい?」と様子は見ても、プツプツと泡が出始めるまでは、 あまりいじらない方が良い結果が出ます。 目安としては、発酵が始まるまでは4〜5日に1回くらい。 発酵が始まったあとは、2〜3日に1回くらいです。 これを基準に、攪拌多め、少なめを加減していただくと上手く行くと思います。 なお、発酵が終了したあとは、諸味の表面に白い斑点が見えたら攪拌する 程度で良いと思います。 疑問点、ご不明な点ございましたら、いつでも、何なりとお問い合わせ下さい。 物言わぬ(が決して嘘はつかない)微生物との対話が醸造の醍醐味と存じます。 諸味の世話を通して、この楽しみを共有出来たら私どもも幸甚に存じます。